「メトホルミン」は若返りの妙薬かもしれない!?

こんにちは、院長の藤森です。

前回のニールバルジライ博士の紹介に引き続き、本日は「年齢と共に起こる、老化そのものを遅らせる」という今話題の研究プロジェクトについてお話しいたします。

メトホルミンが寿命を延ばす?

皆さんは「メトホルミン」という薬をご存知でしょうか。

メトホルミンは1959年にフランスで承認後、日本では1961年から使用されるようになりました。糖尿病の治療として使用されている薬であり、安価で効果的な薬のため日本でも広く使用されています。

同じ頃、抗糖尿病薬として「フォンホルミン」という薬が1954年から使用されていましたが、
1977年に米国で重篤な副作用が続いたため販売が中止されました。

最初に市販されたメトホルミン製剤であるGlucophageが出て以来、日進月歩の製薬業界では数少ないロングランの薬です。肝臓における糖新生作用を抑制することで血糖値の上昇を抑えるため、2型糖尿病の経口治療薬として広く用いられています。メトホルミンは剤型によって非常に効果に差が出るため、各国で製薬各社が改良に改良を重ね、現在に至っています。

その作用は、糖だけでなく、中性脂肪やコレステロールの合成も抑制してくれて、脂肪肝は血中の脂質レベルの改善にも効果を示すものとして知られています。90年代にメトホルミンを服用している患者たちにおいて心筋梗塞、脳卒中、認知症、がんの発病率が低いことが確認されてからは、抗加齢物質として注目を集めました。マウス、線虫、ハエにおいては、特定の条件下で寿命を延ばすことが確認されています。

抗加齢物質としての大掛かりな実証研究の計画

column-20161005バルジライ博士はメトホルミンが健康な人間にも効くかどうかを検証しようとしています。

メトホルミンの抗加齢作用がこれほど大かがりに実証研究されるのはもちろん世界で初めてのことです。
この研究は純粋に学問的に厳格に行われることになります。つまり、被験者を二つのグループに分け、片方はプラシーボ(疑似薬)が用いられ、もう片方のみに本来の薬剤が用いられるので、被験者自身も、医師も、その人にどちらが与えられたのか分からないように行われます。

バルジライ博士の研究は、特定の薬品の効果の検証や特定の病気に対抗することではなく、加齢というプロセスそのものを解明することです。
そのため、研究にかかる費用の5,000万ドルはアメリカの加齢研究学会がカバーするので、製薬会社に依存しない客観的な結果が出ることが期待できます。

実際の適用を考えると、メトホルミンには大きなメリットがあります。
現場で長く使われてきたため副作用についても研究されつくし、改善されてきたため、今更驚くような副作用はまず出ないだろうということです。そのため、本来ならこの調査はアメリカの保険局(FDA)からの許可を取らなくても良いのですが、バルジライ博士のチームはFDA事務局の承認を取ろうとしています。

抗加齢薬の効果が実証され、それが普及していったら、みなさんの健康年齢の上昇には大変なメリットがあります。

「もし何らかの方法で加齢を止めることができたら、典型的な成人病は全く発病しないか、発病を相当程度遅らせることができるだろう。究極的には加齢が重大な病気を引き起こす最大のファクターであることを医者も医者でない人々も軽視しすぎていますから」

とバルジライ博士は述べています。

結果が出るのは5年後ですが、非常に楽しみです。